3階建ての注文住宅のメリット・デメリットを紹介

公開日:2025/08/15  

3階建ての注文住宅

土地を有効活用したいと考えて、3階建ての注文住宅を検討している家庭もあることでしょう。しかし、3階建ての注文住宅には多くのメリットがあるのと同時に、デメリットもいくつかあります。本記事では、それらについて詳しく述べるので、注文住宅の間取りで悩んでいる人はぜひご一読ください。

3階建ての注文住宅のメリット

3階建て住宅には、狭小土地の有効活用という基本的な利点に加えて、さまざまなメリットが存在します。

眺望・日当たり

まず注目されるのは、眺望や日当たりのよさです。国土交通省のデータによれば、3階建て住宅の標準的な高さは約12.9mであり、一般的な2階建て住宅の約7mと比べて高いです。そのため、周囲に高い建物がなければ、より広い景色を楽しめます。また、最上階は日差しが届きやすく外からの視線も遮られるため、プライバシーの面でも優れています。

部屋数の確保

次に、限られた敷地でも十分な部屋数を確保できる点が挙げられます。2階建てではスペース不足で部屋数が限られることがありますが、3階建てにすれば各階に居室や収納、ガレージなどを効果的に配置でき、間取りの選択肢も広がります。ロフトやビルトインガレージの設置も可能になり、家族構成やライフスタイルに応じた柔軟な住まい設計が実現しやすくなることでしょう。

フロアの使い分け

各フロアを目的別に使い分けられる点も利点です。たとえば、1階を店舗やオフィスとして使い、2階・3階を住宅にすることで、住居兼事業スペースとして機能させることができます。

2世帯住宅の場合も、1階を親世代、2階を共用スペース、3階を子世代といった分離型の住み方が可能で、プライバシーと共用のバランスが取りやすくなります。

水害リスクに強い

3階建て住宅は災害対策の面でも利点があります。とくに水害リスクが懸念されるエリアでは、1階をガレージや収納にし、2階以上を居住スペースにすることで、洪水時の被害を軽減可能です。ハザードマップで浸水区域とされる地域においても、垂直避難が可能な構造は、安全性の確保につながります。

3階建ての注文住宅のデメリット

3階建て住宅には多くの利点がある一方で、高さがある構造ゆえにいくつかのデメリットも存在します。これらの注意点を理解しておくことで、後悔のない家づくりにつながります。

条件の制限

まず大きな課題となるのが、建築可能な条件の制限です。とくに都市計画法や自治体の条例によって高さ制限が設けられている地域では、希望通りの3階建てを建てられない場合があります。

たとえば、第一種・第二種低層住居専用地域では、建物の高さは10~12m以内に制限されており、それを超える建築は不可となります。このような場合、天井高を抑えるなどして高さを調整する必要があり、居住性が損なわれることも考えられます。

さらに、建ぺい率や容積率、隣地・北側・道路からの斜線制限など、法的な制約も多く、設計には十分な検討が必要です。

階段の上り下り

次に、生活面での負担として挙げられるのが、階段の上り下りの大変さです。3階建ては縦に空間を使う構造であるため、階段の移動回数が増えます。小さな子どもを連れての移動や買い物後の荷物運び、掃除など、日常の中で階段の負担を感じる場面は少なくありません。

若いときには問題なくても、年齢を重ねることで階段移動がつらくなる可能性もあります。その対策としてホームエレベーターの設置が考えられますが、導入には高額な初期費用やメンテナンス費、さらには固定資産税の増加もともないます。

地震・強風の影響を受けやすい

3階建ては構造的に地震や強風の揺れを受けやすいという弱点もあります。建物が高くなることで重心が上がり、とくに地震の際は2階建てよりも揺れが大きくなる傾向があります。

さらに、1階部分にビルトインガレージなどを設けて壁面積を減らした場合、耐震性にも影響が出るため、設計段階で十分な耐震対策をすることが大切です。

3階建ての注文住宅の建築費用

3階建て注文住宅の建築費は、建てる構造や選ぶハウスメーカーによって異なります。2023年度のフラット35利用者調査によれば、全国的な目安は平均坪単価は約107万円、延床面積の平均は約36.1坪(約119.5㎡)とされています。このデータをもとに試算すると、30坪の住宅でおよそ3,210万円が建築費の目安となります。

ただし、3階建ては2階建てに比べて建築費がやや高くなりやすい点に注意が必要です。その主な理由は構造計算の義務地盤調査・地盤改良の追加費用が挙げられます。

まず、3階建て以上の建物では建築基準法により構造計算が義務づけられており、その費用は木造住宅で約20万円が相場です。RC造(鉄筋コンクリート)の場合は、木造よりも1.4倍程度高額になります。

さらに、3階建ては建物が重くなるため、地盤の強度がより重要となります。地盤の状況に応じては、事前の地盤調査とそれにともなう地盤改良が必要となり、追加費用が発生するケースがあります。

代表的な地盤調査では、スウェーデン式サウンディング試験が約10万円、ボーリング調査は25〜35万円程度が相場です。地盤改良工事については、表層改良が60〜120万円、柱状改良が100〜180万円、鋼管杭改良では100〜200万円程度が目安とされています。

まとめ

3階建ての注文住宅は、限られた土地を最大限に活用できる住まいとして高い人気を誇ります。眺望や日当たりのよさ、部屋数の確保、フロアごとの使い分け、水害への備えなど、多彩なメリットがあります。一方で、建築条件の制限や階段移動の負担、揺れへの対策といったデメリットも存在し、慎重な検討が欠かせません。さらに、構造計算や地盤調査・改良費用が必要となるため、建築費も2階建てより高くなる傾向があります。メリット・デメリットを正しく理解し、自分たちの暮らしに合った設計を選ぶことが、満足度の高い家づくりへの第一歩です。

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